冨田ラボ "Live -combo-"@Blue Note Tokyo

ブルーノート東京であった冨田ラボのライブに参加してきました。自分のプライオリティの関係で、ライブ本編の内容が少ないかも知れないけれど、日記的なものを残しておきます。念のため断っておくと、坂本真綾ファン視点です。
TOMITA LAB-冨田 ラボ

当日まで

口調は戻そう。アルバムYCCMに楽曲を提供して貰ったことが切っ掛けで、冨田ラボWORKS BESTの新曲にゲスト参加、そして5年ぶりのワンマンライブにもゲストボーカルで参加という、素敵なお仕事の広がり方だったと思う。金銭的にアレというのは一先ず置いておいて。
普段はjazzなんてこれっぽっちも聴かないので、ブルーノートという名前は兎も角、どんな空間なのかは知らなかった。色々と調べてみると、1st,2ndと一夜の間に2回のショーがあって、その分だけ1ステージの時間は短めだったり、食事をしながらライブを見るスタイルで、メニューが随分とお高かったり、そもそもチケットの値段もお安くなかったりと、購入を躊躇う理由はいくらでも挙げられた。
けれど、獲得戦争そのものが楽しいからという不純な動機で参加した、一般発売の競争を勝ち抜けてしまった段階で覚悟を決めた。自分とは比較にならない熱意を持っているにもかかわらず、今回のライブに参加できなかった人も居るかもしれない。坂本真綾なんて、ミーハーなファンを抱えてそうなゲストを何故呼んだと嘆く人も居るかもしれない。そういう人に対して申し訳ないという思いも少しはあったのだけれど、でも、ブルーノートという空間を味わってみたいという欲求のが強かった。今回のライブに参加するにあたっては、真綾を見に行くよりも、冨田ラボを見にいくよりも、ブルーノートに足を運ぶことに意味を見出してた。

開場まで

自分は2ndの自由席だったので、どうせなら最大限に楽しめるポジションを確保しようと、1st参加の友人にくっついて行き、15時前に青山のブルーノートに到着。観音開きの扉の左には、冨田さんとゲストボーカル4人の直筆サインが入ったポスターが飾ってあり、左右の上方にはアルファベットプレートで今晩の演目と、翌日の演目が表示されていた。
扉を開け、飛び犬からのちょっと場違い?なスタンドフラワーを横目に階段を下ると、大体12m四方の広さのレセプションロビーとなっていて、クロークカウンター、バーカウンター、レセプションカウンターが3面に設置されていた。既に20人弱の人がソファーに座って待機していたので、スタッフの誘導に従って待つことに。待機列の先頭も女性の集団だったし、ライブ全体を通しての客層も女性のが多かったと思う。冨田さんのファン層の男女構成は知る由もないけれど、ライブ中の歓声とかから推し量る分には、秦基博さんのファンの方がやや多かったのかな。
格式あるステージなので、ドレスコードがあるのかと怯えてる人もいたけれど、めかし込んだ人はそこまで多くなかった。ただ、常連さんらしき人の呟きをどっかで見た分には、普段よりも圧倒的に若く、圧倒的に騒がしいロビーだったらしい。
ソファー席には収まりきらない程の待機列が形成されたので、15時過ぎに1stステージの受付が繰り上げられ、1stの開場時間が迫ってきた17時には2ndも受付開始。同行した友人と喋ったりしてたので、そこまで長いこと待った気もせずに、6番の整理番号が書かれた入場チケットを受け取った。レコードを模したオリジナルデザインで、ブルーノートに行ったんだなーと感慨に浸れる素敵なチケットなので記念に写真を載せておく。下に敷かれてるのは現地に置いてあったライブのチラシ。

17時30分になって1stステージの開場がスタート。1st参加の人を見送って、2ndに参加の人と合流し、ブルーノート内で食べなくて済むように、しっかりと晩御飯を食べた。鎌倉パスタってお店で『夜ランチ』とかいう、お味は中々良かったけど不可思議なネーミングのセット。
時刻も20時も回って、そろそろブルーノートに戻ろうとしてると、1stに参加した人たちがTLで大はしゃぎしてるのを発見。出演者とハイタッチする機会があったらしく、ちょっとした熱狂状態に陥っていた。6番という、ほぼ好きなところに座れる整理券を手にしてた自分は、どこに座るべきなんだろうかと悩みつつブルーノートに戻った。

本編っぽいの

混雑しているロビーから係員の誘導に従って階段を1フロア分だけ降りると、ブルーノートのメインフロアだった。先人のアドバイスに従い、ステージ下手の花道に隣接したとこに着席。ステージ前のテーブル席はかなりの密度でテーブルが敷き詰められ、一人当たりのスペースはそこまで広く無かったと思う。COEDOの瑠璃というプレミアムビールを頂きつつ、ボックス席の知り合いを尋ねたりして、開演を待つこと45分。場内の照明が一段階落ちて、ステージの幕開けとなった。
ステージ上の構成は、上手の端の手前にドラム、その奥にベース、中央がゲストボーカルとその下手寄りに曲によっては冨田ギター、奥にはピアノとキーボード、下手手前に金管が2名。ライブの副題にもなってるcomboというのは、wikipediaを引用するとこんな意味らしい。

少人数の編成によるバンド。バンドの構造はロックバンドと共通する点が多いが、ブラス/ホーンが加わる例が多い為、編成の種類はロックよりも多岐に渡る。また、従来のジャズバンドは生楽器による編成が基本とされていたが、マイルス・デイヴィス以降は電気/電子楽器の導入も稀ではなくなった(ウェザー・リポートチック・コリアハービー・ハンコックなど)。
バンド (音楽) - Wikipedia

ブルーノートの公式に掲載されてたセトリに沿って、書ける部分だけ感想等を。
1.OPENER

拍手に包まれながらボーカルを除くバンドメンバーが登壇。開幕に相応しい緩やかなナンバー。メロディは金管が担当しつつ、ギターフレーズも交えつつみたいな。曲終わりでも音を切らさずに冨田さんが軽く挨拶して一人目のゲストの呼び込み。

2.エイプリルフール

”さかもとまあやー”というちょっと聴きなれないイントネーションに応じて、フロアの下手後方から床を照らすペンライトを持ったスタッフに誘導されて真綾の登場。ほんの10cmくらい先を通った気がするのに既にディティールの記憶が無い。衣装は黒と少しの光モノを基調にしてて、膝丈のスカート、ノースリーブのキャミソール、珍しくゴテゴテした首飾りといった感じ。写真を見た方が早いか。
BLUE NOTE TOKYO:movie: - TOMITA LAB "Live -combo-"
YCCMの厚木以来2度目のライブverだったけれど、原曲に忠実なアレンジで、いつの間にかステージ上手にいらっしゃったHiro-a-keyと目線を交わしつつ緩やかに歌い上げてた。ミディアムテンポでのデュエットという昭和歌謡っぽさはこの曲の魅力の1つかも。

3.GOD BLESS YOU !

まさかのユーミンカバー。このライブの予習をするに当たって、秦さんとbirdは想像が固まってて、実際にその通りだったのだけれど、真綾は『エイプリルフール』以外が予想しづらかった。音域が最近の真綾が歌う曲と比較すれば低めで、珍しい歌声が聴けたといえば聴けたのだけれど、自分のものとして歌いこなしてるとまでは行かない感じ。レコーディング音源として聴けば違った印象を受けるのだろうけれど、ブラス混じりのライブだと声量的に辛いしね。冨田ラボにおけるユーミンカバーなら、WORKS BESTの『楓』を聴いてみたかった。
左肩の2つの黒い肩止めの、片方が何度も二の腕の方に流れてしまって、その都度さり気なく直してた。曲終わりに軽いMC。『一曲目の大役を仰せつかり』みたいな会話をしてたけど、ノリは『エイプリルフール』メイキングのアレ。

4.横顔

『GOD BLESS YOU』ではカウベルを叩きつつコーラスしてたHiro-a-keyが、真綾とポジションチェンジしてメインボーカル。バーテンみたいなチョッキを着込んでいて、洋の正装っぽい衣装が似合っていた。右手の握り拳でリズムを取る歌い方が独特で、節回しがバイリンガルの人っぽく、低音のビブラートは甘くて綺麗。初めて聴いた曲だったのにすんなりメロディが入ってきた。この曲で真綾とHiro-a-keyは一端退場。この時も花道を通ったのだけれど華麗にスルー。

5.眠りの森

次のゲストボーカルは秦基博。Hiro-a-keyとは対照的に、シンプルな黒づくめの衣装で、恰幅のいい感じ。本人の最新アルバムでもカバーしてたのでセトリ入るだろうと予想してたらビンゴだった。サビでフォルセットに入る直前の地声高音域が格好良くザラついてて、『鋼と硝子でできた声』というキャッチコピーに納得。共演は久しぶりというトークに、1stステージのことを持ち出す謎MC。『パラレル』リリースの時にキャンペーンで2人で数会場ライブイベントをしたらしく、ライブ活動の少ない冨田さんからすると馴染みのお相手らしい。

6.パラレル

カラオケで友達が歌ってるのを聴いて知った曲。ボーカルを聴かせるバラードで、ブラスもボーカルを喰ったりせずに、素敵なアレンジだった。マイクなんか通さないでも嫌というほどブラスを味わえる座席だったので、アレンジによって曲に対する感想がかなり変わってしまうのは痛し痒し。センターボックスとかが音は良いのだろうな。一番お客さんを集めてただろう秦さんは2曲で引っ込む

7.道

最後のゲストボーカルでbirdが登場。エスニックな雰囲気のワンピースで、聴くところによれば裸足だったらしい。birdは1stや2ndの大沢伸一プロデュースの頃は好きでよく聴いてたけれど、当時はライブに行く習慣も無かったので、ようやく生で聴くことができて嬉しかった。でも、真っ先に思ったのは、歌声じゃなくて、『ちっさ!顔ちっさ!首なげー!』というしょーも無いこと。真綾と比較しちゃうと仕方ないね。birdというアーティスト名の由来の1つ、デビュー当時の鳥の巣みたいな髪型があったらしいけれど、発達した首周りも鳥っぽいとか思ってしまった。
予習もきちんと出来てた曲で、魅力的な低音の響きを味わいつつグラスを傾けてた。なんて大人の空間。

8.VACANT

MCではbirdの楽屋リポートとかを挟みつつ、Hiro-a-keyもいつの間にかコーラス復帰してた。が、ここらで体力が限界に近づいてて、アルコールも入れたせいで軽く船を漕いでた。短い尺でスタンディングでもないのに情けない限り。

9.夜奏曲

イントロもHiro-a-keyがラップで曲紹介。原曲は一十三十一の女性ボーカルらしいのだけれど、ブラスがアクセントを効かせて、男性ボーカルのナンバーとして自然に存在してた。間奏には冨田さんのギターフレーズ炸裂パートがあって、この日のメインナンバーとも言えるかも。

10.パレード

ラストはブラスが更にご機嫌な感じの、birdのグルーヴィーなボーカルの曲。パレードってタイトルだけれど、底抜けに明るいわけじゃなくて、ライブが終わってしまうの哀愁が微かに漂ってて上手いセトリだなーと思った。

11.GET UP ! DO THE RIGHT !

アンコールは冨田さんがまずステージに登り、バンドメンバーを順番に紹介して、ステージに呼び立てる。メンバーは花道のお客さんとハイタッチしつつステージへ。ゲストボーカルもHiro-a-keyとbirdが呼ばれ、アンコールのナンバーへ。birdの手が小さくて勢いが凄かったのが記憶に残ってる。
初めて聴いた時から、これはライブでやるに違いないと思ってた、ブルーノートにピッタリと嵌る曲。ピアノソロも挟んで、最後のサビ前には残りのゲストボーカルもステージにお呼ばれ。真綾ともハイタッチしましたとも。秦さんは手拍子でお客さんを煽ってたんで無理だったけれど。ブルーノートのサイトに載ってる、ボーカルが4人ともステージに立ってる写真はこの時の一枚。

終演後は後ろのレジでさくっと飲み物のお会計をして(ホントご馳走様でした)退場。

終わりに

後から振り返ってみると、個性的なボーカル4人の色んな楽曲を味わえて、楽しいまんまに終わったライブだった。ほんの数メートル先のステージにいるミュージシャンの、表情や仕草や演奏の指の1つ1つの動きまで味わえるというのは贅沢なもの。ハイタッチを抜きにしても行って良かったと思う。というか、ハイタッチは未だに自分の中で飲み込めてない。手が届かない人というんで、好き勝手に色々と書いてきたのに、文字通りに手が届いてしまったのが変な感じで気持ち悪い。ネタとして他人に自慢する分にはいいのだけれど。
参加した人、最後まで読んだ人、お疲れ様でした。