もーいくつねるとお正月、と
とりあえず今日の分で半年は書いたわけか、俺エロイ。とりあえずはてなが潰れるか、俺がオイタしてbad smell riceを食う羽目になるまで続けていくんで今後ともご贔屓に。
で、久々に読書感想文。
- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1957/05
- メディア: 文庫
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この『堕落論』は13個の小さなエッセイから成り立っていて、そのうち一つが『堕落論』というタイトルのものなわけですが、具体的な内容の前に全体を通しての感想をば。普段読む小説といった類のものは、文章量的にこの『堕落論』の数倍あったりするのも珍しくないわけだが、読むのにかかる時間は圧倒的に短くて済む。何故かと言えば、小説には登場人物の行動や風景の描写が含まれているからで、更に言えば登場人物の台詞というものが頁数を稼ぐのに役に立っているからだろう。誰某がどこどこへ行ったや、なになにと言ったというのを読む分には、単にその事実のみを受け止めればいい。何故そこに行ったのかとか、なんでそういう言い回しをしたのかについて熟考しながら読み進める方もいるだろうが、俺は基本的に筋を追うことに小説の楽しみを見出しているので今回は無視してみる。
で、このエッセイと言う奴が曲者なわけですわ。あるテーマについて語るわけですが、話の論理展開や発想法が全て書き手の脳内で展開されてるわけですよ。つまり書き手の考えをトレースしていかないと連続している2文の関係が掴み辛いわけです。これが思った以上に時間が掛かる…その分共感できた時は感慨深いものがありますが、エッセイという単語に抱いていた軽さという印象は『堕落論』によってすっかり失われてしまいました。
で、肝心の内容なんですが、戦前の文学についてある程度の事前知識があるともっと楽しめる気がしました。太宰などの文学者論を含んでいるというのが主な理由ですが、なんというか昭和前半の日本の空気というものに対して漠然としたものでいいから見識があると、より坂口安吾の言いたいことが判るんではないかと、俺が感じたからです。でも、それを除いても坂口安吾という人の生き方や考え方がストレートに伝わってくる、非情に刺激的な一冊でした。一番お気に入りなのは『続堕落論』かも。久々に数年後に読み返したくなる一冊でした。