満潮の時刻

満潮の時刻 (新潮文庫)

満潮の時刻 (新潮文庫)

遠藤周作という作家との付き合いは中3の卒論で『沈黙』を扱ってから。勤勉な読書家でもない俺が読んだのは10冊にも満たないけれど、それでも俺の中で確固たる存在として根付いてるのは、作品が彼の人生を色濃く反映してることが、流し読む癖のある俺にも判るからだと思う。
満州での犬との別れ、結核で入院した時の鳥かご、長崎でみたキリストの踏み絵、これらのピースはいくつかの遠藤周作の作品に重複して出てくる。ともすればワンパターンとの批判も可能だろうけど、それでも自身の体験から生み出された話には重さが滲み出てると思う。