再び帝国劇場ミュージカル「レ・ミゼラブル」

前回見に行ってから1月も経ってないけど、18日ソワレのレミゼに行ってきた、なぜなら真綾エポの楽日だったから。これが見納めになるかもしれないと考えたら財布の紐も緩んでしまい、福沢さん2枚をオクに注ぎ込んでしまった。けど全く後悔してないのは、1Fの前から1桁後半列目ど真ん中の席に満足したってのもあるし、そんだけの価値があると信じて大枚をはたいた自分に酔うというダメダメな病気に罹ってるからだろう。大勢の役者仲間や菅野よう子まで見に来てたというのだから、エポ引退の話も一笑に付すわけにもいかないのかね…
今回の素晴らしかった点は、なんと言っても役者の表情の細かいとこまで見れたとこ。オペラグラスも一応持っていってたけれど、ラブリィレイディで娼婦役の真綾の位置を確認するのに使った程度。付近にリピーターっぽいオバサマが大量にいて、着席した時の香水の匂いが少し辛かったけど、3分もすれば鼻が麻痺って気にならなくなった。役者さんの目線より少し下くらいで、オケピは殆ど見えず辛うじて指揮者の頭だけが見える程度。最前列だと見上げる感じになりそうだし、お花目当てじゃなければ、ここらへんがベストなのかも分からない。
本編のことは今回も箇条書きで。結構酷いことも書くかも

  • 『囚人の歌』で最初にバルがどこに居るか未だに把握できてない。全編に渡って警吏・警官の警棒の軌跡が美しく、秩序の側に立つ人間ぽく感じる。
  • 司教に助けてもらったバルが銀の食器を元手に実業家になることに関するパンフの解説が興味深かった。他の読み物やキャストコメントも面白くて2,000円の価値は十分にあった。
  • 同じくパンフからだけど、ラブリィレイディの1曲の間に劇中では数ヶ月の時が過ぎてるというのを見てハッとさせられた。ここら辺の物語への想像力が自分は圧倒的に足りないのは日ごろから自覚してることだけど。
  • バルが死ぬフォンテに抱いてた感情は憐憫だけなんだろうか。全編通してバルとジャベからは恋愛の匂いがしないのが面白い。
  • リトコゼの子が頬っぺちゃんだった。実際に役に合わせて体型まで変えるのは難しいんだろうけどね。03の真綾は意図せずしてゲッソリだったかも知れないけど…
  • テナ夫妻が前回と同じ組み合わせだった。いい演技だったと思うけどマルチキャストと考えるとほんのちょっと勿体無い。
  • アンジョのがマリウスよりかっこいいと思ってしまう。決してマリコゼのバカップルに腹を立ててるだけではないはず…
  • ロンドンキャストのCDに比べると今の演出ではガブメインの曲が1つ短く削られてるぽい。原作の残り読んでちゃんとガブの物語上での役割を把握したい
  • 今回はエポの動きは完璧に追いかけられたと思う。そ知らぬ顔でマリウスに体当たりかましてて可愛い。ソロ曲の時よりも、それ以外の細かい演技の方がエポらしくて好き。もちろん曲も好きだけど、そっちはエポとしてより真綾として見てしまうからかも。
  • 前回の感想を漁って色々な人のレポを読んでるうちに、アンジョとマリウス以外の学生の演技も見ようと思い立ってグランテールに注目してみた。台詞はないけれどガブとのやり取りは見てて微笑ましい。
  • 『心は愛に溢れて』がレミゼの恋愛曲の中で一番好きかも。シンプルに当事者で三角関係を歌ってるからかな。『プリュメ街の襲撃』のエポの入りは音が最初から高くて難しそう。メロディは凄くかっこよくて、恋人のために親に逆らってる場面と合わさって緊迫感を生んでる。その後のマリウスになんか腹が立つのはお約束。
  • 『ワンデイモア』の時にマリウスの斜め後ろから視線を送るエポがいじらしい。途中から正面向くのだけどね。
  • 長丁場だから休憩挟まざるを得ないのは分かるけれど、どうしても後半始まって『オンマイオウン』辺りまで観劇に集中できない。悔しい。全体の構成としても前半に好きな場面と曲が多いってのもあるからかも。
  • 休憩明けの最初のスローモーションの場面でかかる曲のアレンジが、ドラえもんみたいで笑ってしまうのは俺だけですかね。のん気すぎる。
  • バルに手紙を届けた後でお駄賃でもらったコインを放り投げるエポの逞しさ。流石元ハンドボール部と言いたいが、カテコの花投げではその逞しさは消えている。エポを演じているから為せる投擲なのかしら
  • 『オンマイオウン』を歌いきった後で舞台後方に駆けていくエポのコートがふわりと膨らむのが切ない。曲の展開と歌詞のシンクロ具合が素晴らしい名曲。また真綾の『オンマイオウン』を聴く機会があるといいな。
  • 原作がまだ4巻の前半なんで『彼を帰して』辺りのバルのマリウスに対する感情の変化が分からない。コゼを娘として愛したように、マリウスを息子と捉えたのかね。その後の女性サンボが輪唱曲で歌ってるように、生まれ死んでいくサイクルも作品のテーマとするならば、世代交代を是と捉えてるとも受け取れるけど。
  • 周囲のオバサマにとっては『彼を帰して』から学生の死辺りが一番涙腺に来るらしい。個人的には何故か『民衆の歌』のメロディが一番あやしくなる。あのメロディとハーモニーにどうも弱い。
  • ガブの死の『1、2、3』は某アントニオさんの影響でまじめに見れない。ついでにアンジョとガブの死を盆を回して強調されるのは苦手。
  • 下水の対決シーンでバルとジャベを照らす光が真上からではなく、空中でクロスするように斜めから照らしてるのが印象的。
  • 結婚式のシーンで床に叩きつけられる錫杖のようなものの意味が分からない。原作読み進めれば分かるかな
  • フィナーレで登場するフォンテとエポ。共に死んだ時の格好なのだけれど、バルが肩掛けを取りフォンテと同じような純白のシャツになって死を表現してるので、エポも着替えていても面白いかもと思った。

と、適当に書き散らしてみた。
フィナーレの後はプリンシパル7名とガブが楽日だったのでスペシャルカーテンコール。年齢の問題でガブは出演できないため、司会が手紙を代読し、他7名はそれぞれ前に出て軽くご挨拶。役になりきる人がいたり、打って変わって素の喋りで感謝を述べる人や、涙で詰まる人も居たけれど、みんな晴れやかな表情をしてた。
真綾のコメントで強く印象に残ってるのは、舞台でカンパニーと演じるという無上の幸せを、初演の時は緊張や苦しさで味わう余裕がなかったのが悔しいというもの。フォトエッセイ集『アイディ』を読んだ時は、そんな苦労もしてたのかとぼんやり考えたけど、目の前で涙を流しながら話す様を見て改めて心打たれたと同時に、03の時に見に行かなかったのを悔やんだりした。そんなレミゼmy千秋楽でした。