朗読活劇レチタ・カルダ「ジャンヌ・ダルク」

富岡のレポもまだアップしてないのだけれど、偶にはその日のうちに感想を書いてしまうのもアリかと思うので、ラスエグ始まるまでの時間を利用して書いてみます。前後は例によってカットで。
会場となった上野水上音楽堂は初めての利用。家からそれなりに近いので、今まで何度も付近は通っていたのだけれど、あれだけのスペースが確保されてるとは思っていませんでした。表通りを走る救急車のサイレンや、途中から降り始めた雨音が聴こえてくるのはご愛嬌。
実は、ちょっとした事情で前方中央ブロックのかなり良い席から見ることができました。某方には感謝してもしきれないので、何かのタイミングで恩を返せたらなーと思ってます。ステージ上は中央奥に3段くらいの高台があり、その上手側には火あぶりの薪を思わせる棒のオブジェ、更に舞台袖には一番利用された小道具であるところの2m近い旗、上手の手前には水差しとコップが置いてあるテーブルと椅子のセットがありました。
下手寄りに今回の音楽を担当したスパニッシュコネクションのお三方が陣取ってて、中央寄りからギター、バイオリン、パーカッションの並びでした。冒頭の「無伴奏チェロ組曲」以外は聞き覚えのない曲だったので、彼らのオリジナルかこの劇用の書き下ろしなのかも知れません。バイオリンが割ときっちりメロディーラインをとっていて、PAの関係もあって偶に台詞を喰ってしまっていたのが、朗読活劇というタイトルからすると残念といえば残念なのだけれど、演奏の質は高かったと思うので良しとします。休憩入る直前の曲でパーカスの人が生でクラップをしていたのが新鮮でした。
照明は割とオーソドックス。その中でも最後の火あぶりのシーンで、天井から左右斜めに吊り下げてた白いカーテンに投影する炎の演出は突出してたと思う。脚本はあんまり褒められる感じではない。地の文の説明口調とか分量とか、歴史通りに単語をズラズラと並べてる様が、ちょっと単調だったり退屈だったりする。春の『消しゴム』が主観による記述が中心だったのでそれとのギャップもあるのだろうけれど。平均的な日本人には宗教が行動原理になってる人たちの話は理解や共感が難しい気もするし、一方的に脚本のせいだというのも間違ってるのかも知れない。
でも、少なくとも冒頭で軽く煽ってたような泣ける脚本ではない。手に汗は握るけれど、それはどちらかといえば朗読の技法に因る気がする。文の語尾が『た。』で終わりすぎてるので、単調にも思える一方で、捲し立てられると勢いがあるように感じるのだよね。ここらはもっと劇やホンを呼んでいる人の意見を聞いてみたいところ。

ということで、目当ての真綾に関する話。朗読活劇という名前が付いてるだけあって、ステージ上にある椅子に座ってる時間は全体の半分にも満たなかったと思う。話の途中で衣装を変えて場面やジャンヌの状態を描写したり、ステージ上だけでなく客席の間も練り歩いたり、特に小道具の旗を持ち歩く場面が何度かあり、ちょっとレミゼっぽくていいなと思ったりした。恥ずかしくなるような鎧姿+剣みたいなのが無かったのは残念ですけれど。
もう一つ特徴的なのは、台本を手に持って目で追いながら朗読をする場面が少なくて、手ぶらで体を使って演技をしながら、イヤモニに流れてるだろう音声を台本として利用してる場面が多かった。あれはかなり練習をしないと難しいはずで、それなりな回数の突っかかりはあったけれども、2時間弱の上演時間の7割強は喋っていただろうし、許容範囲内というかよく頑張ったんじゃないかと思う。裏でどういう仕組みでタイミングを合わせていたのかは気になるところ。*1
単調なテキストではあるけれども、地の声、割とフェミニンな(ゲーム版との比較でしかないが)ジャンヌ、虐める立場の男共辺りの演じ分けは素晴らしいと思ったし、特に緊迫する場面で畳み掛けるように台詞を重ねていく様は、思わず手に汗を握ってしまうだけの迫力があった。『消しゴム』でも思ったけれど、カツゼツの良い真綾の声で矢継ぎ早に強い口調の台詞を重ねられるとかなり怖いですね。割と台詞に抑揚を付けていたのも珍しいかも知れない。ただ、早口過ぎたりBGMと被ったりで、台詞を聞き取れない場面も幾つかあったので、そこは少し残念な感じ。
一番近いときは1mあるかないかの距離で演じていらしたので、そういう時は話の中身は右から左へと耳を抜けてしまい、ひたすら台詞を喋る真綾の顔を見ていました。自分の影が真綾に掛かってるなーとか、マイクを通さない生の声が先に聴こえるやーとか、近くで見るとやっぱり顔が小さいなーとか、31歳の人妻とは思えない可憐な真綾に意識を奪われっぱなしでした。多分今までの生真綾の中で一番近かった気がする。あ、嘘だ。BNTはゼロ距離か。(←自慢
ただ、近いと近いでカメラマンさんが隣でずっとカシャカシャやってて集中できなかった時間帯もあるので、良し悪しといえば良し悪しだと思います。
他に印象に残ってる場面は、カーテンコールでお辞儀を上手に向けてしたときの体の姿勢がとても優雅な曲線だったことと、何度かステージにダイブしてて膝とか腰を痛めたりしないといいなー心配したことと、客席の中央を凛と見つめる瞳のぶれない様が演技の一環とはいえ美しいなーということと、やっぱりうなじ周りが真っ白くて綺麗だなーということと、いつもよりは目の下の隈が目立たないなーということとか、そんなんばっか。コレは酷い。
全ては雁川で飲んだお酒と食べ物のせいってことにして、このしょうもないレポートを終わろうと思います。語尾が無茶苦茶なのはしってるけれど、統一するのメンドイんでご容赦。参加した、明日参加する人、読んだ人、お疲れ様でしたー。

*1:16日追記・携帯サイトのblogで暗記してたとのことです。お見逸れ致しました。