Symphonic Cantasies Tokyo -music from SQUARE ENIX@東京文化会館

貴重な公演のチケットを譲っていただいたので、いそいそと参加してきました。軽くメモしておきます。(8500)

いつもの

幼い頃に遊んだスクエニRPGの名曲をフルオーケストラで、という胸躍るコンセプトに惹かれて少しお高かったけれど手を挙げてみました。でも、昨年末のin the silenceと同じ値段ということを考えると、ステージ上の人数を考えればリーズナブルとさえ言えるかも知れないですね。
会場の東京文化会館は上野のお山の中で、小学生の学外教育でクラシックコンサートを聴きに訪れて以来の利用だったと思います。あの時はおぼろげな記憶だと2Fか3Fからだったけれど、この日は1Fの下手ブロックで、ステージ上の団員と殆ど目線の高さが同じ素敵な席でした。
特に印象的だったのは、参加してるお客さんの半分以上が女性だったこと。若い人が多かったのはキングダムハーツや光田さんの訴求力なんですかね。あと、三が日にテレビで放映していたウィーンフィルニューイヤーコンサートと比較して、東京フィルハーモニーの女性奏者の多さにもビックリしました。といっても、女性が一人も居なかったのでアチラのが変なのですけれど。

本編

既にリリースされてるCDと同じで、本編は5つの組曲+アンコールから構成されていて、冒頭の序曲を経た後に、キングダムハーツ聖剣伝説2クロノトリガー&クロス、ファイナルファンタジーという順序で演奏がされました。各パートごとに少しだけ感想めいたものを残しておきます。

FANTASY I:キングダム ハーツ

ロピアニストとしてベンヤミン・ヌスさんを迎えての最初のパート。このゲームのみ一度も遊んだ事が無かったので、予習として聞かせてもらったドイツ公演の音源のイメージしかなかったのだけれど、華やいだ雰囲気の明るい楽曲をフルオーケストラで聴くというそれだけでワクワクしてしまいました。
クラシックの組曲交響曲といったノンストップで10分以上のボリュームがある楽曲を聴いてると、音に集中し続けるというよりも、音を背景にして思考が色んな方向に飛んでいってしまう癖があって、その感覚が実は好きだったりします。
フルオケを従えてのピアノソロはグランドピアノが小さく見えるくらいの大柄な人が弾く位でちょうど良いのかもしれない、とか、楽譜をめくる役割の人が大変そうだなー、iPadで譜面表示したりする世の中も来るのだろうかとか色々なこと考えてました。

FANTASY Ⅱ:聖剣伝説2

全体を通してだと、このパートが一番原曲を把握してたと思います。東京混声合唱団の人も加わって、イントロからアウトロまで凝りに凝ったアレンジがなされてました。合唱の人も単に歌うだけではなくて、歌詞の書かれた紙をはためかしたり、口で水の泡が弾ける音を出したり、ピアノの人も蓋の中に頭を突っ込んでピアノの弦を直接叩いたりと面白い事やってました。
聖剣2と合唱ってイメージがあまり重ならなかったのだけれど、テーマソング聴きながら軽く鳥肌が立ったりしてました。特に迫力があったのはやっぱりケチャこと『魔術師』。本場のよりはお上品だったけれど、何とも表現しがたい迫力がありました。

FANTASY Ⅲ:クロノトリガー/クロノクロス

SFCのソフト人気音楽アンケートとかをやると必ずトップテンに食い込んでくるのがクロノトリガー。多分に漏れず自分も強くてニューゲームも含めて何周も遊んだし、サントラも買って『歌う山』カッコイイとか言っちゃってた痛い子でした。でも、クロスはハードの問題で未プレイという中途半端な感じ。
ロニー・バラックさんがソロパーカッショニストとしてゲスト参加し、ダルブカという民族楽器を叩き鳴らしてました。カクテルのメジャーカップのような形をしたダルブカは、抱きかかえた状態で、それぞれの手を叩きつけて色々な音を出すのですけれど、親指を除く4本の指で4連符をきっちりと刻むのが驚異的でした。
でも、一番シビレタのは曲の終盤にあった『魔王のテーマ』から『カエルのテーマ』の流れですね。そもそも、『魔王のテーマ』が少し調を変えるだけで勇者の曲として通用するくらいカッコイイというのを初めて自覚したし、金管のメロディが素敵すぎました。
そこから一旦ボルテージを下げ、絶妙なタイミングでカエルのテーマへと切り替わり、再び盛り上がってクライマックスを迎えるアレンジは素晴らしいとしか言いようがなかったです。クロノトリガーの物語の1つの大きな軸である、魔王とカエルの2人をここまで意識させられたのは初めてだったかも知れません。ゲームの発売から20年弱経ってもこんな経験できるんだから、世の中捨てたもんじゃないですね。

FANTASY Ⅳ:ファイナルファンタジー

そして最後はやっぱりこの作品。最初のハープアルペジオだけで来て良かったと思えるから、積み重ねてきた音楽の力は凄まじい。ただ、セフィロスのテーマが入るかと思いきやチョコボのテーマに行ったり、ビックブリッジのテーマが来るーと思ったら来なかったりと、編曲がトリッキーで焦らされる感じが強かったです。その分だけ実際に演奏されると、『おおおおお!!』とはなるのですけれどね。ラストは合唱による『メインテーマ』で大団円を迎えたのでした。

惜しみない拍手によってアンコールが始まると、まずは1Fの前方中央で鑑賞してたコンポーザーの方々が登壇。植松さんは海外でお仕事のためにお手紙が代読され、他の3人とアレンジャーの方々はそれぞれに軽くコメントしてました。光田さんの民族楽器への愛情の片鱗が覗けたのは良かったです。


encore:Final Boss Suite

最後はソリストの2人も加わってのボス曲メドレーで個人的にはラヴォスのテーマがボーカルも含めて圧巻でした。火の用心の音みたいなパーカッションもしっかりと入ってて満足。ただ、もっと予習に時間が取れたらなーという思いもありました。全てリアルタイムで遊び込んでた人が羨ましい。

アンコール後も終演のアナウンスがあるまで拍手が一向に鳴り止まなかったので、それだけ参加者の満足度が高かったコンサートなのだと思います。自分も久々のフルオケコンサートを心行くまで楽しめたし、久しぶりにJRPGと呼ばれるゲームで遊びたくなりました。連れて行ってくださった、はまさんに改めて感謝を。参加した人、読んだ人、お疲れ様でした。