LIVE TOUR 2013 "Roots of SSW"@大阪国際会議場メインホール

2013年3月31日、坂本真綾の33歳の誕生日に開かれたライブに参加してきたので軽くレポ。諸事情で中身は薄いはず。当然にネタバレは含む。オフ関連は省略(6300)

いつもの

会場の大阪〜(以下、グランキューブ)は初利用。高級ホテルに隣接してるお陰で梅田駅からシャトルバスはあったけれど、気軽に入れる飲食店が周囲に少なくやや不便。エスカレーターで5Fまで上がったところにコンサート会場の入り口があって、そこから上下数フロアに渡ってホールが広がってる構造で、飛び跳ね禁止という看板が置いてある程度にライブ会場としては不安の残る立地条件。つい最近、コンサート中に会場設備に関わる事故が立て続けに起きたけれど、どれくらいの振動にまで耐えられる設計になってるんだろうね。
自分の座席はAブロック後方の上手の端っこ。グランキューブの音響はイマイチという話だったけれど、そこまで気にはならなかった。ただ、角度の問題でベースの大神田さんが演奏してる所は殆ど見えなかった。全国からの遠征民が居たからか、客席は埋まってたように思う。
演者さんの配置は、ステージ手前が下手からバンマスの河野さん、真綾、ギターの今掘さん。ステージ奥が下手からキーボードの扇谷さん、コーラスの重住さんとハルナさん、パーカッションの三沢さん、ドラムの佐野さん、ベースの大神田さんという並び。真綾を除いた皆さんは衣装を黒で統一しててお洒落でした。

本編

1曲ごとに書く感じでもないし、MCに対して長文解釈を加える感じでもないので、適当に分けつつ。

00.(フォトショット)
01.遠く
02.サンシャイン

冒頭はSSWメイキングやリハーサルのスチール写真のスライドショー。
そこからの『遠く』は、やっぱり1曲目はこれだよなーという予定調和なんだけれど、幕が上がって現れたのは、みんなの予想を全力で裏切るギター装着真綾だった。イントロだけで装備解除してたの見て、ホッと安堵したのは自分だけじゃあるまい。かぜよみツアーの『vento』や、YCCMツアーでの『eternal return』もそうだけれど、アルバム1曲目にあるということはライブ冒頭に相応しい要素を楽曲が持ってるということなんかしら。後で少し考察するかも。サビの「遠く」はハルナさんががっつりサポート。
最近のツアーだと25曲弱がセトリとして組まれてるんで、SSW曲はもう少し散らしてくると思ったから、続けての『サンシャイン』は少し意外だった。流石に3声じゃCD並みの複雑なコーラスは不可能だったけれど、ライブで重ねすぎると不協和音になりそうだし妥当なのかも。ちなみに衣装は白のスッとしたシックなワンピース。

03.グレープフルーツ
04.私は丘の上から花瓶を投げる
05.ニコラ
06.everywhere〜HAL mix

『遠く』スタートで総立ちになったお客さんを、MCで着席させた巧みな会場コントロール
ツアータイトルと、マニアックであるという事前情報から3曲だけセトリ予想してたんだけれど、『グレープフルーツ』は見事に当たったのでご満悦。背伸びしてアンニュイさを出してたCD音源は、結果的に初々しいのだけれど(菅野さんはそれを狙ったんだろうか)、33才が歌うとそのままアンニュイな感じに聴こえてしまうので、楽曲として完成したような、逆に崩壊したような不思議な感覚になった。
逆に素直に完成形を味わえたと感じたのが次の『私は丘の〜』。サビ頭にある「はあーあ」が、CD音源だと当時の真綾の歌唱力や歌唱法とは違う方向性に思えて実は苦手だった。何度繰り返し聴いてもその違和感は拭えなかったんで、好んでは聴かない曲になってしまったのだけれど、今の真綾が歌うと音域にも無理が無いし、歌詞もSSWに通じる気がして存分に楽しめた。個人的に大きな収穫。
『ニコラ』はBメロのクラップで一部の人が頑張ってたのが面白かった。練習してきた人が半分と、その場で乗っかってはみたけれど2連符は予習不足の人と半々くらいかな。『everywhere』がどのmixかをライブで識別するのは不可能と思ったが、アウトロのコーラスの有無でいいのかw

07.Ask.
08.Remedy
09.誓い〜ssw edition
10.カミナリ
11.極夜

この日の真綾のコンディションは私的に8割くらい。『ask.』はとっても良かったし、IDSイベではアコ編成で聴いてみたい。『Remedy』からの『誓い』はどうしても震災を思い起こしてしまう。正直に言うと、ここらの流れの時は自分のコンディションがアレだったので、夢の世界の入り口と現実とを何往復もしてた。座り続けるライブスタイルにこんな危険があったとは…
『カミナリ』でSSWの10曲中7曲を前半で消化することになり、ここまで前半に詰め込むとは、と驚いた。この曲は作ってる時からライブでハルナさんと一緒に歌うことを意識してたらしい。照明もかなりトリッキーで、ピンスポットを多用して演劇チックだったのが印象的。『極夜』も意外だったかな。暗いメロディが好きだってのは本当なんだろう。ここで真綾が一旦退場

12.しっぽのうた(インスト)
13.cloud 9

この日のセトリで個人的な山場の1つがこの2曲。
『しっぽのうた』は、itsのDitsパートの冒頭と同じで、河野さんのグランドピアノと三沢さんの掛け合いから始まるのだけれど、この段階でもう音の可愛さにメロメロに。跳ね回るピアノのメロディに、多様なパーカッション楽器が合いの手を入れ、まるでオモチャ箱を引っくり返したような有様。やがて曲が進むと河野さんの隣に扇谷さんが座ってピアノの連弾になった。ミツバチツアーではパーカスの松本さんとドラムの佐野さんというリズム楽器の協演だったのと好対照と言えるかね。
実は、河野さんと三沢さんの2人で演奏してた時は何の曲かがサッパリ分からなかった。衣装替え中は真綾曲のインスト版がこれまでの定番だったのに、ついにそれを崩してきたのかと思ったりした程。その後3人になって、主旋律まで到達してようやく分かったのだけれど、そうと気付けばナップルテールの世界観を思い起こさせるちょっとしたフレーズが、あちらこちらに顔を覗かせていて、文句なしに素晴らしいアレンジだった。ここだけでも音源化して欲しい。
そして、鳴り止まない拍手に滑り込んでくるように『cloud 9』の特徴的なイントロが始まると、周囲の人の息を呑む音が聴こえてくるようだった。今回のラインナップだと一番マイナーだろうけれど、だからこそずっとライブでの演奏が切望されていたこの曲は、自分が初めて参加したタナボタ3以来、実に9年ぶりのセトリ入りだった。上下とも鮮やかな青の衣装に着替えた真綾が軽やかに歌い上げてたが、ちょっとした事件レベルなのではないだろうか。

14.Colors
15.Melt the snow in me
16.park amsterdam(the whole story)

真綾のライブでは初めてだろう英語詩パート。『Colors』はメロディは良いんだけれど、CDだろうがライブだろうが、歌詞がどうも切れ味悪い気がする。そういう意図なのかは知らないが、念仏や呪文を聴いてるようなそんな感覚に陥る。スクリーンではイルカさんが夜空を泳いでた。『Melt〜』も意外に感じたのは、すっかり春になったのにDitsから2曲も来たからだけど、好きな曲なんでまあいいか。
個人的に『ベクトル』を聴きたいと前から思っていて、今掘さんがアコギに持ち替えた所で心の中で小さく高まったのだけれど、イントロの最初の音で違うと分かってしまい、嬉しいような悔しいような、でもやっぱり嬉しかった『park amsterdam』。スクリーンにはストーリーに沿ったムービーが投影されてて、少し昭乃さんのライブを思い出した。歌詞を派手に入れ違えたと思ったけれど、間違ってるのは自分だった。それくらいレアな曲。坂本真綾とアリスというのは切っても切れない関係にあるのだろうか。転調後の夢パートをミュージカル調にノリノリで歌っていたのが可愛かった。

17.なりたい
18.スクラップ〜別れの詩
19.Roots of SSWメドレー
   マメシバ - プラチナ - 奇跡の海 - 指輪 - 約束はいらない - 指輪 - マジックナンバー - 光あれ
20.シンガーソングライター

定番のアッパーパートは、この日のこの瞬間のために作られたといっても過言じゃない『なりたい』から。MCでも一番自分らしい歌詞と言ってたのが印象的。これくらいのBPMのアップテンポナンバーが増えると、今後の坂本真綾のライブにバリエーションが広がって良いのではないかと何となく思った。ただ、この日はみんなが軽く体をゆする程度で、足元がかなり揺れて怖かった。
ギターが今堀さんに決まった時から、あったらいいなーと思ってた『スクラップ』もタナボタ3以来。もっと熱狂する人が多いかなーと思ったけれど、割とみんな大人しく聴いていた。光源が高速で切り替わり続ける照明演出で、ゆっくり動いて見える演者の人たち。でも、スローモーションに見えても、2コーラス目頭からの佐野さんのカッコよさは素晴らしい。
マイナー曲と新曲が延々と続いたセットリストとバランスを取るために、有名シングル曲の詰め合わせとなったメドレーは3年前の武道館と好対照。ただ、『奇跡の海』前後の繋ぎはちょっとイマイチだった。曲調が独特すぎるから仕方ないか。逆に、『指輪』の合間に『約束はいらない』をキー変更して綺麗に挟み込んだのはお見事。『マジックナンバー』に関しては悩ましい。これも後述。『光あれ』はRoots要素での選曲かな。
リリースからライブまで間が無かったのだけれど、各種メディアでのプロモーション活動や、インタビューを読みすぎたせいで、MCは全部どっかで聴いたことある気がしてしまったのは失敗かもしれない。何も気にせずに歌だけに集中できるという考え方もできるのだけれど。
最後のMCを挟んで本編を締めくくるのは、これまた予想通りの『シンガーソングライター』。でも、Roots of SSWの締めくくりとしてはこれ以上は無かった気がする。ニッコリしながら踵でリズムを刻んで、多幸感に包まれてライブが終われるのは良いこと。お約束のアンコールに繋がるとはいえね。

アンコール
21.カザミドリ
22.僕の半分
23.Get No Satisfaction!
24.ポケットを空にして

『カザミドリ』は予想してた3曲のうちの1つ*1。季節もぴったりだし、メロディも『誓い』に通じる部分があるし*2、rootには「根を下ろす」って意味もあるので*3鉄板かなーと思ったのだけれど、前日はこの曲の枠で『蒼のエーテル』だったらしい。それはそれで聴いてみたい。
『僕の半分』もやったことでSSWの収録曲をコンプリート。SSWの中で一番真綾の綺麗な声を味わえる曲だと思っていて、ライブでもそれを再確認できたかな。この曲のRootsは人によって意見がバラバラで面白そうなんで、例の企画が実行に移せるよう頑張りたいところ。
『GNS』では再びテレキャスターを装備して、イントロだけ華麗に引き倒す。あまりに触ってなかったせいで、弾かないならギター頂戴というコメントまで届いたのと、スタッフからオリジナルピックをプレゼントされたのとで、已むに已まれぬ事情だったと軽く自虐。中々にキレのある「ジャジャッ x 4」だったと思いますよ。
最後は『デコボコマーチ』をあっさりと退けてポケ空がレギュラーポジションに復帰。真綾本人が鍵盤ハーモニカを吹いて演奏の一部を担当したり、今堀さんがマンドリンに持ち替えてCD音源まんまのイントロになったりと、ジンワリ来るものがあった。

ということで、ローテンションのまま全曲にちょこっとずつコメントを付けるという、何とも微妙な本編のレポートでした。

終わりに

あんまり楽しんでない感じのレポになったけれど、全体を振り返ってみるとアルバムの新曲は全部聴けたし、それ以外のセットリストは痒い所に手が届く"マニアック*4"なものだったし、特に不満な点は無いライブだった。なんでネガティブを否定するような感想の書き方になるのかは、自分でもよく分からない。捻くれてるからでしょうさ。後は、夜行バスでの寝不足が祟って、コンディションが万全でないままにライブに臨む羽目になったのはあるね。そういうプランを組んだ自分が悪いので、次に遠征する機会があったら少し考えよう。24日の東京公演も参加予定なので、その時はバッチリ寝ていくとします。

セトリに関する雑考

最後に本編で後述と書いたものについて書き殴ってみる。

つもりだったけれど、今の段階じゃ碌な文章に仕上がらないので諦めてここで公開することにした。もう少し煮詰まったら別エントリーにするかも。

*1:ちなみにもう1つの『ムーンライト』はハズレ

*2:私見

*3:後付

*4:誤用だけどね