ずうずうしいな、おい

かなりノンビリ読んでた夏目漱石の『吾輩は猫である』を、よーやく読了しました。

吾輩は猫である(上) (集英社文庫)

吾輩は猫である(上) (集英社文庫)

元々はゼミのHに面白いと薦められて、名前だけは腐るほど聞いたことあれど、実はまだ読んでなかったなと思い借りてみた次第です。とりあえず面白かったので、未読者は読んでおいて損は無いと思う。色んな出版社から出てるけど、巻末の語注が集英社のはやたら充実してたんで割とお勧め。登場人物に作者の人格やらを反映させてるお陰で、出てくる話題がやったらアカデミックだったりマニアックだったりするんで単純に読み流すのは難しいと思われます。特に興味深かったのが下巻のラスト前の近代と個性にまつわる論弁。近代化の進行によって個性が強くなることにより、社会のあちらこちらで個の衝突が起こり世の中が住みづらくなると言う苦沙弥先生の悲観論的にもとれる発言には、作品の舞台からは100年後の世界に住む人間のはずの自分も思わず首を縦に振りたくなるほどものがありました。
妖々夢で一部にはお馴染みの無何有の郷という単語を見つけて思わずニヤリ。まーZUNさんがどこから取ってきたかは知りませんけどね。