都響スペシャル2012 「第九」@サントリーホール

父親が用事が出来ていけなくなったというので、前から興味はあった第九のコンサートに行ってきた。軽くメモ

いつもの

会場のサントリーホールは過去に1度くらい連れていって貰ってそうだけれど、物心ついてからは初めての利用。入り口の公演スケジュールを観たら、笑っちゃうくらいに「第九」の文字列が並んでいた。『日本人と「第九」』という研究論文も探せばあるだろうな。
サントリーホールはヴィンヤード型コンサートホールと呼ばれる、ステージの後ろにも座席があるタイプの劇場で、今回のチケットは奇しくもそのステージ後ろのP席の最前列中央寄りだった。調べてみたらP席は定価が2,500円で、全ての座席の中で一番安いのだけれど、他の会場では絶対に味わえない貴重な経験が出来る席だった。ありがたいことですね。空間の広さの割りにキャパも2,000ちょいで、座席の余裕がしっかりとあってハイソな会場だった。

本編

http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=77
クラシックはたった2行で演目を表示できるので楽でいいね。

ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第3番 
ベートーヴェン交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」

とはいえ、普段からクラシックに親しんでるわけでもないので、演目に関して書けることは殆どない。特に交響曲のボリュームになると、曲を曲として認識できなくなってしまう。知ってるフレーズが来るとおーっ!!ってテンションが上がるけれど、また知らないフレーズに戻ってしまうことの繰り返しだものね。とても、9年間バイオリンを習ってたはずの人間のコメントには思えない。
そういった訳で珍しい座席で体感したことを、適当に箇条書きにするに留めようと思う。

  • 後ろの座席が安いのは、恐らくそっち向けに音が作られてないからだと思うのだけれど、予想してたよりも普通のオーケストラとして楽しめた。ティンパニがとても近いので曲や展開によっては少し五月蝿いのだけれど、曲に集中できないレベルではなかったし、その他の楽器で指向性が強いのは一部の金管楽器くらいなので、近距離特有のステレオ感を存分に楽しむことができた。
  • オーケストラを裏から見れたことで、奏者の手元や譜面台とかも好きなだけ見ることが出来た。特に先述のティンパニは距離が近かったので常に視界に入ってたのだけれど、叩かない場面でもしきりに皮の張り具合の調節に気を配っていたのが興味深かった。演奏の邪魔にならないように、皮に耳を近づけて指で軽く叩いて音を確かめながらチューニングしてる様は、プロフェッショナリズムが分かりやすく表れてた。4種類のマレットを使い分け、線ではなく点で演奏に参加する彼は、演奏を聴きながらどんなことを考えていたんだろうか。それは第九の第二楽章と第三楽章の間で入場してきた合唱の二期会の人やソリストにも言えるのだけれどね。
  • ステージ裏座席の最大の魅力は指揮者を正面から見れることだと思う。最前列ともなると鼻息まで聞こえてくるので、まるで自分も楽団のメンバーとなったような錯覚を覚える程だった。指揮者はカール=ハインツ・シュテフェンスという方で、ベルリンフィルで首席クラリネット奏者だったのを辞めて指揮者へとなったらしい。指揮者による演目の違いを語れたりするレベルではないけれど、とても表情が豊かで、身振りも欲しい音をキッチリと要求するので、どんな音を作りたいのかが分かりやすい印象を受けた。第九の合唱も全部歌いながら指揮してた辺りは流石ドイツ人。日本で指揮者やるなら避けては通れない演目だろうけれど、海外だとどうなんだろなー。
  • 第九といえば大四楽章の合唱が一番インパクトあるんだろうし、自分も好きな部分で今回はそれが楽しみで参加したようなもん。レミゼもそうだけれど、大人数での合唱というものは心を動かす何かがあるようだ。基本的に集団での何かしらって忌避感が先行してしまうのだけれど、数少ない例外がこれかもしれない。

10年くらい前から一度は聴きに行きたいなーと思ってたので、漸く達成できて感慨も一入。確かにこれは毎年1回くらい聴きたいかもしれない。こうして文化は創られていく(まんまと乗せられる)のだろうな。