坂本真綾 Live2011 in the silence@銀河劇場

12月の13日から18日にかけて5本あった、坂本真綾の今年最後のライブイベントに参加してきました。今までにリリースした3つのコンセプトアルバムを、リリース順・収録順に演奏するという珍しいタイプのライブでした。いつも通りのレポを書きたいと思います。ちょっぴり長文かも。(8400*2)

いつもの

自分は5日間のうち、公演初日の13日と4日目の17日の回に参加してきました。会場の銀河劇場には5月の朗読劇『私の頭の中の消しゴム』の時にも訪れていたのですが、音楽イベントとしての利用は初めてだったので、*1どんな公演になるか楽しみにしてました。

劇場外のこと

キャパと公演回数によってチケットの希少度は変わるもので、今回に関しては需給不一致になってしまったようです。けれど、本スレで誰かが書いてたように、大きいハコと小さいハコでは違った味わい方ができるし、ツアーの期間や公演回数を調整することによって、今後もこのような規模の公演を続けていってくれたら良いなと個人的には思います。
質を維持したままハコのサイズを小さくする以上、避けて通れないのが価格面なのですが、この際、チケット価格が上がるのは仕方ないでしょう。自分は8,400円の価値はあったと思ってます。よく分からないグッズを乱発して回収されるよりは、需給バランスを整える効果もありますし。

物販はマフラーが思いの外に人気で、初日を除いては最初の50人分くらいしか在庫が無かったみたいです。お客さんの女性比率も割と高かったので、デザインも使い勝手も良いグッズとして注目されたのかも知れません。自分は流れに釣られてパンフとマグカップを買いました。満月朗読館のと共々、いつかの一人暮らしに備えて死蔵しておこうと思います。
パンフレットはサイズもページ数も可愛い割には悪くない値段でしたけれど、坂本真綾本人の全曲ライナーノーツは個人的に興味がある部分で、内容も読み応えあったので買って良かったです。作詞の前に膨らませているヴィジュアルイメージの話を読んでると、自分の感性を飯の種にしてる人はやっぱり凄いなーと感心してしまいました。アルバムを通してのレビューを、真綾とゆかりの深い3人のライターさんが書いてるのも、それぞれの味が出てて面白かったです。

チケットに書かれていた来場者プレゼントは、ストラップや携帯ポーチにもなる黒のミニ靴下と、各日100名様に直筆サインの付いた日替わりポストカードでした。僕のはどっちの日付もサインなんて見えなかったですが、きっと炙り出しで書かれてるんだと思うことにします。勿論、一生炙りません。
会場内のバーカウンターではコンセプトアルバムをテーマにした3種類のカクテルが特別に作られていたので、友人達と分担して全て味わってみました。特筆すべき程に美味では無かったですけれど、色の完成度とグラスのデザインは良い線いってました。銀河劇場のスタッフサイドからの提案で実現した企画だそうで、素晴らしいサービス精神と営業努力だと思います。週末は500杯近く売れていたんじゃないでしょうか。グラスの回転が大変そうでした。

劇場内のこと

自分の座席は13日が2Fバルコニーの2列目、17日が1Fの上手の5列目でした。それぞれに聴こえてくる音や飛び込んでくる光景の違いがあったのですが、ライブハウスではなくて劇場であることのメリットを活かした照明演出が多かったので、少し離れた高い位置から俯瞰して大まかな流れを掴んだ後で、表情も追える近い距離から細かい内容を味わうことが出来たのはとても理想的だったと思います。たとえ同じ列だったとしても、左右に数席ズレルだけで目も開けてられない程に眩しいスポットライトの直撃を避けられたり、逆に、演者同士が重なって見えないなんてことも起きるので、こればっかりは事前に知るのが難しくて運の要素が高い部分ですね。

個々の楽曲に関するアレコレは後の"本編"で書きますが、全体を通して13日は照明に苦しむことが多く、17日はベース音が少し強めでボーカルが頭の上方を過ぎ去ってしまう感覚を覚えました。やっぱり1度だけライブを味わうのなら、PA卓近辺がベストポジションだと思います。とはいえ、総じて言えばPAと照明に関しては満足のいくクオリティで、特定の楽器が埋もれることも悪目立ちすることもなかったし、視覚と聴覚でコンセプトアルバムの世界観を味わえました。

座席に関するこぼれ話としては、2Fバルコニーの最前列が関係者席だったらしく、13日は中島愛さんと扇谷研人さん、17日は北川勝利さんと千ヶ崎学さんを拝見しました。小さい劇場の上に見通しが良いので有名人がお忍びで参加するのは難しい会場ですね。13日の公演終了後には、物販列が楽屋挨拶の入り口が近かったので、SFPさんも見ることができました。自分が参加してなかった日にも色々な人が目撃されたことと思います。

ステージ上のバンド構成は、下手手前にキーボード・ピアノ・各種ギターと頼れるバンマス河野伸さん。その後方には沖祥子さん率いる弦カルテット。ステージ中央寄りにパーカッションの三沢泉さん。上手の手前は袖寄りにギターの石成正人さんで、その隣にベースの海老沼崇史さん。上手の奥には中央寄りにドラムの坂田学さんで、袖側にコーラスKAZCOさんとハルナさんという並び順。ステージ上に総勢12名という武道館Giftと同じ構成なわけで、これだけ豪華な構成ならチケット単価もあがるわけですね。でも、これが今回のライブの楽曲を演奏する上では必要十分な構成だったと思います。個々のメンバーの魅せ場は折を見て紹介していきましょう。
特殊なセットは殆ど無かったのですけれど、紗幕とホリゾント幕*2もどきが良い仕事をしてました。今回のレポートは照明演出に関する記述が多くを占める予定です。最後のまとめでも触れますが、最初からセトリの大半が判明していたので音に関する驚きの要素が薄く、幾つかの曲を除けば冷静にアレコレを確認しながらライブを味わってました。まぁ、いつものことですね。

本編

事前に発表されていたように、ライブの本編はイージーリスニング『30 minutes night flight』『Driving in the silence』の3つのパートに分かれていたので、それに従って頭から順々にレポートしていきたいと思います。セトリを意識しないで済む分だけ、いつもより細かいとこに意識を払えた気がしますが、間違い等も多々含むと思うので、気付いた点がありましたらコメントなりreplyなりで指摘して頂けると助かります。まぁ、完璧な正解がそのうち映像としてリリースされると思うので、大体こんな感じだったんだろうなーと掴んで貰えれば幸いです。あと、語呂をよくしたいので、ここから少し文体を変更します。さぁ、いこう。

鳥のさえずり混じりの静かなBGMが流れる中、ステージに下りてる紗幕に白文字で

Maaya Sakamoto
  Live 2011
in the silence

という文字列が、ルパン3世のアレよろしくタイプライター音と共に表示される。まもなく上の2行は消えてしまい、残った「in the silence」の文字列に、画面外から鳴き声あげつつ羽ばたいてきた白い小鳥が着地した。その衝動で鳥と一緒になって文字も左右に小さく揺れる様は、まるでブランコ型の止まり木のよう。
タイプライター音がどうしても色々思い出してしまうし、さっぱりsilenceじゃないよなーとか思いました。我ながら無粋ですね。

イージーリスニング

白い鳥さんの周囲に白い鳥かごが出現し、今度は

easy listening

という文字列が打ち込まれた。文字が消え、スクリーンに映るモノトーンの鳥かごが段々と大きくなってゆき、ついにはスクリーン全体にまで広がる。
01.inori

前方の紗幕は落ちたまんまで、ステージ奥からのライトに照らされ、鳥かごの中で歌うシルエットの坂本真綾
最初の3音でイジリスの世界へと誘う、全アルバム通しても屈指の掴みの強さ。ライブ初披露のこの曲はCDと趣を異にして、生ドラムでの緩やかな4つ打ちにアレンジされていたけれど、個人的に大好きな2コーラス目から始まる囁くようなコーラスは健在で、随所に差し込まれる河野さんのピアノフレーズが曲の表情を豊かにしてた。13日は早速歌詞ミスってたし、譜面上ではシンプルだろうサビのメロディも、譜割りとピッチ合わせが大変そうに聴こえたけれど、ボーカルは期待してたラインは突破してくれていた。
シルエット固定の前半とは打って変わって、曲の後半の照明がとってもカッコよかった。ステージ左右端の足元に設置された2つのライトによって紗幕に投影されていた鳥かごの白と黒の縞模様が、ライトの回転に合わせて上手から下手へとゆったり流れ始め、Cメロからの曲展開に合わさる。それに加えて、歌詞に合わせるかのように演奏陣のシルエットも紗幕上を駆け巡った。楽器を鳴らすメンバーの輪郭は息を呑むくらいに美しく、照明演出に関してはこの曲がライブの中では頭1つ抜けていたと思う。

02.blind summer fish

ステージ前方の紗幕が上がる。13日に幕が上がった時に感じたのは、ステージの奥行きがかなりあるなーということ。1万4千人が入った武道館と同じバンド構成だったので、750人がキャパの銀河劇場だとステージ上が窮屈な印象を受けるかと思ったのだけれど、そんなことは特に無かった。
真綾の衣装は青や緑系統の、ウェストがほっそり締まった膝丈のスカートと上着で、エルフとかピーターパンとかを思い起こす人が多そうな感じ。流石にアルバムジャケットみたいな水着姿ではなかったですね。頭に羽飾りも着けてて、足元はキラキラする何かがいっぱい付いてるブーツでした。衣装の大まかな雰囲気に関しては、毎度お馴染みのペンギンさんレポを参照してもらいましょう。
【ネタバレ警報】【ネタバレ警報】真綾ライブin the silenceうろおぼえ衣装
海をイメージした美しい青や紫の照明で空間全体を照らしてるのが綺麗だったけど、17日はアクセントの黄色の照明が真っ直ぐ目に飛び込んできてちょっと眩しかった。河野さんがピアノからキーボードに移って、武道館を思い出させるような直球アレンジ。

03.doreddo39

曲の持つ野生的なイメージに乗っかるような、赤い地明かりの中を極彩色の丸い照明が駆け回るややエキセントリックなライティング。イメージとしてはニコパチのジャケットでの赤髪真綾とかが近いかも。
ライブが発表された時から石成さんのギターカッティングを楽しみにしてた曲。河野さんもアコギに持ち変え、ツインギターで子気味よくリズムを刻んでいく。けれど、真綾の歌唱はそういうムードに乗っかってはしゃぐのではなくて、むしろ一歩引いて冷静に歌ってるように聴こえた。13日は客席に対して半身になって歌ってたから受けた印象かも。

MC1

いつものご挨拶。コンセプトアルバムを発売順・収録順にやるという今回のライブのコンセプトとか、普段とは違う自分を追及するというイージーリスニングの製作背景とか。

04.afternoon repose

左右の天井隅に三重で斜めにかかってる幕も含めて、ステージ全体が白と灰の中間くらいの色の照明で照らされる。カッチリした固定の照明ではなく、風が吹いてるかのように穏やかに波打つ感じ。
イントロのコーラスはKAZCOさんとハルナさんが担当してたけれど、やっぱり真綾に声質が近い気がする。海老沼さんがウドベに持ち替えアコースティックな雰囲気の増すなかで、小節終わりの三沢さんの凛としたパーカッションが引き立っていた。2コーラス目最初の「Wind chime, lullabies」に合わせたウィンドチャイムにニヤリ。
真綾の歌声は日本語の時よりも英語の時の方が年月の経過を感じにくい気がする。普段は喋らないから抑揚が変化しにくいのかも。曲の持つまったりとした雰囲気は、30過ぎた今の方がより合ってると思う。

05.bitter sweet

新妻が歌う浮気の歌とか素晴らしいですよね!ね! ピンクや紫や暗めの照明がアダルトな雰囲気を醸し出す中で、海老沼さんのベースと三沢さんの激しいパーカッションが曲を引っ張っていく。サビの冒頭でステージ上の白いライトが客席を最前列から3Fまで舐めるように這い上がったあの演出は、何を意図したものなんでしょう。アウトロの英語コーラスのフレーズを利用して、真綾とコーラス2人のボーカルだけで〆るラストがカッコいい。

06.another grey day in the big blue world

イントロは上手端の低いライトで真綾の影を河野さんの方に飛ばすように照らし、ABメロは垂直のぼんやりとした光の柱を舞台に降ろしてたまでは照明も良かった。が、サビの照明がそれらを潰して余りあるほどに酷かった。ステージ背面上部のライトは斜め下を、下部のライトは斜め上方を向いて、空中でクロスして客席を照らす照明演出だったけれど、上向きのライトが13日の自分の座席を打ち抜いてくれたお陰で、眩しくて目を開けてられなかった。2,3秒なら目潰しの照明でも我慢するけれど、サビ頭から「What will tomorrow bring?」の手前までずっと固定。ステージ上でライト浴びてる人は、客席だったり舞台袖だったりが全然見えないってのを実感できたけれど、全く持って嬉しくないです。
ピアノソロから始まり、ベースが加わっていくCDに忠実なアレンジ。13日はサビの殆どで目を瞑っていたのだけれど、こういう曲を声量で魅せられるようになったのが、アルバムのリリースから10年間の成長なんだろな。歌詞の最後「will birds sing?」が綺麗な前振りになってるのはこのライブだからこそ。

MC2

イジリスは鳥かごの中の鳥というモチーフ通りにいっぱい歌詞にもいっぱい鳥が出るけれど、アルバムにもその名の通り『birds』という曲があるので聴いて下さい。という短いMC。

07.birds

Giftの映像特典で小出しにされた『birds』をようやく聴けた。ABメロはピーコックグリーンの内に閉じた照明で、サビになると黄色成分が増した若草色に近い開放的なライティングだった。閉じたり開いたりっていう印象を受けるのは客電の強弱なんかな? 特に閉じた照明の時は、背面のホリゾント幕もどきが鳥かごみたいな形に光っていて、曲とのマッチングが素晴らしかった。
今の年齢で歌っても色々と若さを感じられるから、そういう意味だと貴重な曲なのかも。真綾はどこをファルセットにするか、厳密には決めてない感じを受ける。少なくとも牧野さんみたくカッチリはしていない。違う言い方をすれば、コンディションの良し悪しが割と分かりやすい。
今回のライブでは数少ない王道バンドサウンドだった。ラスサビが終わってアウトロも盛り上がり、真綾がステージ袖に引っ込んだあとそのまま緩やかに終わるのかと思ったら、息を吹き返したかのようにアウトロ盛り上がりが再燃し、石成ギターは唸りをあげ、コーラス2人はアウトロの英語詩を熱唱し、このままライブが終わってもいいんじゃないかという大団円感に包まれた。ちょっとだけクドかったけど、衣装変えだし仕方ない。

30 minutes night flight

再び紗幕が落ちて白黒の世界へ。高らかに歌い終わった鳥かごの鳥は、下手のスクリーン外へと浅く侵入する軌跡を描くように飛び、画面外で飛行機へと変身して戻ってくると、満天の星空の中を夜間飛行に興じるのであった。

30 minutes night flight

の文字が現れ、ステージ奥の方向へと遠ざかる機影。そのまま消えてしまうかと思いきや、再び客席側へとUターンしてきて段々と大きくなり、一度高度を下げて画面外に消えた後、画面内の星を全て掻っ攫うかの様に画面の下から上へ向けて急上昇。黒→白→黒という急激な視界変化と共に次の世界へと誘う。
08.30 minutes night flight

イントロの宇宙っぽい高周波のSE群は河野さんの演奏なのか、マニピュレーターさんなのかは分からず仕舞い。どちらの日もキーボードに向き直ってる時の河野さんの手元を確認するのは無理だった。少し話がズレるけれど、ライブの何が楽しいかって聴かれたら、1つには映像と音声とを脳内でリンクさせることが出来る点だと僕は思う。目を閉じて音だけに酔い痴れることも贅沢だけれど、やっぱり視覚情報は強力だし前向きに利用できるのなら利用したい。
紗幕が上がり、衣装変えした真綾がお目見え。30 minutesのジャケットで着てたような、暖色寄りのチェック柄生地を何種類もあしらったワンピースで、胸元がV字に切れ込んで根元に1点モノのアクセサリーが光っていた。足元はステージ上を走り回らない真綾だからこそ履けるようなヒールの高い厚底のサンダル。


深い青を基調とした照明は王道なのだけれど、30分の夜間飛行を証明するために、6桁のストップウォッチが背面に表示されたのは今回のライブならでは。と言っても、常に表示されてるのではなくて、曲数で言えば半分くらいで、それも間奏の数小節だけとかに配慮はされていた。曲の雰囲気を大きく損ねたりしなくて良かったと思う。
特に印象的だったのは三沢さん。サビでのタンバリン?による三連符の音が小気味よくて、手首のスナップを活かした軽快な演奏に見とれてた。そして、今回のライブならではの3声による素敵な繋ぎが披露され、夜空を行く飛行機からストンと夢の中へ。

09.ドリーミング

蒸し返すけれど、『30 minutes』発売前の銀河劇場でのFCイベントに参加しなかったのでこの曲も初めてライブで聴く。昭和テイストのメロディがどことなく『おかえりなさい』に通ずるところがあると思うのは僕だけですかね。
ABメロは緑基調で、サビは紫基調の照明。13日は曲のゆったりとしたBPMに合わせて、散歩するように下手と上手を歩いてたけれど、17日はずーっと下手の方を見て歌ってた気がする。
間奏やアウトロでメロディラインを奏でる木管ぽい音が、沖祥子さんのバイオリンで奏でられてるように見えてビックリした。エフェクトかかってたんだろうか。それとも河野さんのキーボードと同じラインを辿っただけ? いつかメディアで確認したい所。

10.記憶-there's no end

アルバム『30 minutes〜』からは唯一の初披露となるナンバー。照明は黄色と灰色あたりが使われていた。今までライブで歌われたことが無かったりするせいで地味な印象もあるし、某スレではこの曲だけ飛ばされたとか酷い感想が飛び交っていたけれど、個人的には今回のライブで1,2を争うくらいに坂本真綾のボーカルが美しく、魅力的に響いた曲だった。
全体的に音の数も少ないからA、Bメロのしっとりとした口ずさむようなボーカルも聞き取りやすかったし、サビも地声で声量たっぷりに艶やかな部分と、ファルセットに切り替えるがぴったり嵌まっていて、ライブで歌うのにピッタリのキーなんだなと軽く感激した。2コーラス目に入る前の無音部分もきっちり再現されてましたね。

11.僕たちが恋をする理由

かぜよみツアー以来となる河野さんのピアノソロでの僕恋は、オリオン座をフィーチャーした静的な照明になるのかと思いきや、白色の斜め8方向に伸びる細い照明がゆったり回転する、宝石が光に反射するみたいな照明だった。13日の2F席からの視界だと、真綾の上半身だけが照明に照らされて浮き上がっていて、他の曲よりも遠くにいるように見えたのを覚えてる。
17日は『ドリーミング』とのバランスを取るように下手向いて歌ってたけれど、横顔がお美しいのでそれはそれで良かった。あと、2コーラス目のピアノ伴奏で発売時からしっくり来ない部分があるんだけれど、それが消え去っていたので河野さんとは馬が合うに違いない。

12.セツナ

このパートでは唯一のバンドサウンドナンバーというのもあり、曲間にドリンク(大根おろし汁かw?)で喉を潤した真綾がステージに振り向く際にくるっと1回転しちゃうくらいのウキウキ加減。間奏でも高いヒールなのにピョンピョン飛んだりして、転んでギックリ腰になったりしないかと割とハラハラして見てた。照明は青とかピンクが交互に使われていたかも。

13.ユニバース

青いサイリウムを持ち出す人もなく、照明にも青が混じらなかったユニバース。ステージの前方足元にあるオレンジの光源によって、ステージの背面の下側が控えめに照らされて室内をイメージさせるようなライティング。
ABメロはチェロが曲を引っ張っていくのだけれど、17日はそっちにばっかり意識を割いてたら、ボーカルとちょっぴりズレてる気がして少し気持ち悪くなった。『指輪-23カラット』みたく、『ユニバース-80億の孤独』とかいつか聴けるかな。

14.30 minutes night flight 〜sound of a new day

紗幕が再び降りてスクリーンにはストップウォッチが浮き上がる。28:50辺りから最後の1分間を刻んでゆく数字の背景には、夜中に飛行機で東京に着陸する時のような、ぼんやりとしたオレンジの街明かりが一面に点ったいた。やがてスクリーン映像は飛行機のコックピットからの視界に変わり、徐々に高度を下げて滑走路へ向けて滑り落ちてゆく。30:00:00を指すと同時にランディングして無音になり、夜間飛行は終わりを告げるのであった。

『Driving in the silence』

スクリーンに映し出されているのは、無音で滑走路を進むコックピットからの視界だったはずなのに、次の瞬間にはエンジン音を響かせながら走る車のフロントガラスからの光景へと変化する。視点はそのまま後ろに下がり、車のリアガラスを突き抜けて、走る車を真後ろから捉え、その後は大きく右に回り込む。Ditsの初回版DVDでも御馴染みの真っ赤なジャガーに似たフォルムの車を真横から映すと、再び車の運転席へとカメラは寄っていき、助手席越しの車窓へとアングルは固定される。

Driving in the silence

最後のタイトルが表示されると、モノトーンの世界にふと色が付き、車窓の風景は海岸線を走る車からの映像に変わっていた。『Dits』のジャケット撮影で赴いたアイルランドで撮影したのだろう。イメージとしては全英オープンゴルフが開催されるセント・アンドルーズとかが近いと思う。寒風吹きすさぶ荒い灰色の海。茶色い枯れ草と低い濃い緑の木が転々と生い茂り、道路は海面から10mくらいの高さを、蛇行しながら伸びてゆく。
そんな風景が映し出される中、紗幕の奥では三沢さんのパーカッションソロが静かに始まる。リズムを刻むというよりは、1つ1つの楽器がどんな音を奏でるのかを、お客さんに教え聴かせるような静寂交じりのパーカッション。やがて、河野さんがピアノで小さいフレーズを挟み込んでくる。すると三沢さんもピアノに寄り添い、お互いの呼吸を重ねるようなセッションへ。
ピアノの演奏は、車窓を高速で過ぎ去る風景に似つかわしい、軽やかで明るい流れるような旋律へと変わっていくのだけれど、この時の三沢さんの演奏で、改めてパーカッションという楽器の魅力に気付いた気がする。上手く言葉には出来ないのでもどかしいが、河野さんのピアノはそれ単体でもとても美しかったのだけれど、要所要所にパーカッションが加わることによって、音が立体的になるというか、奥行きが生まれるというか、もっと抽象的な表現をするならば音楽にシナリオが見えてくるそんな気分にさせてくれた。今回のライブでは三沢さんのパーカッションの配置は真綾に一番近くて見やすかったし、楽曲のアレンジ面でもかなりフィーチャーされていた。これから書くDitsでも凄く活躍してたので、今から映像作品で三沢さん祭りを見るのが楽しみ。
スクリーンでは河野さんのピアノに合わせて車窓の風景も変化していき、ポツポツと民家も見えるようになる。やがてピアノソロに変わり、それも終わりを向かえると、いよいよ冬の扉が開かれる。

15.Driving in the silence

まるで初雪が降ってるかのような、河野さんのピアノによって始まる3つ目の世界。紗幕が上がると、お臍から下を純白のドレスに覆われ、そこから上は真っ赤なちょっとゴテゴテした衣装を身に纏った坂本真綾が登場。白いドレスは、武道館『Gift』のエチゼンクラゲみたいなモコっとしたのじゃなくて、スラっとしているタイプだったけれど、ウェディングドレスですか坂本さん!?と思わせるだけの気品に満ちてました。
照明は光源を蔽うことによって作ったぽい、真っ白い板を思わせる形状のライトが何本もグルグル回ってた。『Dits』の曲はリリース直後ということもあって、全体的に前印象通りの歌唱だったりアレンジだったりした。トータルでのサウンドプロデューサーがバンマスだから当たり前なのだけれども。

16.sayonara santa

最終日のアレを除けば、全楽曲の中で唯一のギミックがあったのがこの曲。PVで巨大シャボン玉と戯れてたのを思い起こさせるように、ステージ左右の袖から終始猛烈な勢いで吹き出る小さいシャボン玉。正直に言うと、13日に2Fから見たときは真綾の近辺までは届いてるのはちょびっとだけだしイマイチだなーと思った。けれど、17日に1Fの上手前列から見たときは、吹き出る角度に合わせて斜め上に伸び上がる黄色いライトにシャボン玉が重なって、七色の光を反射してるのが凄く綺麗でビックリした。
ステージ全体は青色を地明かりにした照明で、ステージ背面にはやっぱりシャボン玉を連想させる淡い水玉がライティングで浮かび上がってた。

17.Melt the snow in me

曲の暗い雰囲気そのままの控えめな照明の中で、心臓の鼓動を思わせるような三沢さんのスティックによるリズムに、残響エフェクトの掛かった石成さんのギターと、河野さんのピアノが合わさってゆく。
このアルバムで一番好きな曲なのだけれど、それは偏に真綾のボーカルが心地よいからで、ライブでもその部分はちゃんと在ったのでホッと一安心。10年後にライブで聴いたらかぜよみツアーの『パイロット』と同じ状態になるかもしれないけれど、その時はその時ということで。

MC3

約1時間ぶりのMC。真綾のライブでこれだけ歌のみが続いたのは何とも珍しい。『30 minutes〜』パートは、アルバムのコンセプトに合わせてライブ演奏も30分ピッタリで終わらせるという趣旨だったのでMCを挟む余裕がなかった。
「in the silence」というライブの副題に合わせて、一度もMCをしないという案も挙がったが頓挫。アムロちゃんみたいに最後の最後に「ありがとう」と一言だけ言うカッコいいライブをやってみたいらしい。
『Dits』は冬をコンセプトにしたアルバムなので、今まで何度か候補には上がりながらもスルーしてきたクリスマスソングというものを作ることにした。という趣旨のMCは全日やったのだろうけれど、タイトルに『christmas』が入ってるあの曲が不憫でならない。2月のFCイベントで季節外れでもいいから是非にやって欲しいものです。逆に言えば、今度の機会を逃したら永久封印コースもありえる…

18.homemade christmas

クリスマスソングとは言いつつも、照明は青や紫が基調となっていて、上半身が赤で下半身は白い真綾の衣装を際立たせる感じ。間奏とか〆とかポイントを絞って赤いライトを使ってた。河野さんと石成さんのアコースティックギター協演が素敵な感じで、CDだとトリッキーなパンでリズムを際立たせてるけど、ライブでは河野さんがメイン部分をしっかり押さえて、石成さんがよりトリッキーで忙しい部分を担当してた。
最初に聴いたときから節回しが変則的だなーと思ったのだけれど、サビの小節1拍目にシンバルが挟まっていてて、リズムを取りやすいようになっていた。でも、最強に手拍子を挟みにくいので、いっその事みんな挟むの止めましょうよ。ね。

19.今年いちばん

海老沼さんのウドベが似合いすぎるほど似合うこの曲は、レンガや暖炉を思い起こさせるオレンジや茶色の光の中で、沢山の小さな長方形模様が背面に描かれてた。10代の『ねこといぬ』との比較をしたくなるくらい、『今年いちばん』には30を過ぎた真綾の声の魅力が詰まっていて、17日の公演ではこの曲に一番魅了された。
あと、棍棒の周囲に大量の鈴がグルッと何周もついた感じの楽器を演奏する三沢さんの、華奢だけれど筋肉質でアスリートみたいに引き締まった二の腕が素敵だった。今回は三沢さんに視線が行くことが凄く多かったなぁ。

MC4

間に2曲というちょっと短いスパンでのMC。『Dits』の中だと、次に演奏する曲は歌詞をパッと読んだだけでは冬っぽさが少なく見えるらしく、取材でとある記者さんに突っ込まれた。歌詞には「初雪」という文字がある程度だけれど、この曲は音作りのコンセプトとして坂本真綾の考える冬が詰まっているらしい。
親しい友人や家族だけでインドアでまったりと静かに過ごしていると、手遊びで誰かが楽器を弾き始める。それに他の人が歌を挟みこんだり、食器やテーブルを叩いてリズムをとったり、そんな風にして生まれるセッションが次の曲のイメージとのこと。
そしてMCの間に上手の石成さんの前に移動した真綾は、きっと誰かがギターを弾き始めちゃったりなんかするんですよね、と真逆の方向を向きながらも石成さんに演奏のおねだりをして客席の軽い笑いを取る。本当にMC上手くなったもんだ。

20.たとえばリンゴが手に落ちるように

石成さんのギターに合わせて真綾も歌いだし、そこに可愛いパーカスが乗っかっていき、会場のお客さんは手拍子で参加するパーティソング。改めて考えると、照明も赤が基調だったし、この曲の方がクリスマスナンバーっぽい気がする。ただキーが相当に高くてピッチを正確に追うのは難しそう。
お客さんの手拍子は真綾が煽ったので最後まで続いたのだけれど、ハルナさんの手の動きを追っていたら1拍1拍や1拍2拍や2拍1拍を使い分けてた。コーラスの人は当然にコーラスがメインのお仕事なのだけれど、両手が空いてるメリットを活かしての会場のお客さん煽りもとても重要な役割で、それに伴う表情作りだったりステップ刻みだったりという全身を使ってのアレコレは大変そう。ハルナさんのキューティクル全開な感じの美しいショートヘアと、kazcoさんの銀河繋がりメーテル風衣装も素敵でした。

21.極夜

13日は遠かったのと薄暗い照明の中だったので直には気付かなかったけれど、曲間に赤い上着を脱いで、その下には黒いチューブトップの衣装を着込んでいた。バストアップの露出としては、大阪の遣唐使船イベントの並じゃないだろうか。剥き出しになったデコルテが美しくて、ちょいと見惚れてしまった。歌う時以外は微動だにせず、ステージ中央で背筋を伸ばしてじっと耐えるように佇む姿は『極夜』のイメージを具現化したようだった。
曲の長さと比較するとボーカルは少なめだが、美しい高音が響き渡る。終わりなく続く冬のイメージは、僕には室内より屋外を思い起こさせるので、歌声が広い空間に響き渡るライブの方がCDよりも好みだった。終盤のボーカル無しの盛り上がりの部分は、ナタリー等の音楽サイトのレポートにも写真で取り上げられているように、ステージ背面から強く光が照らす中で、空気を切り裂くようなストリングスと、唸るような低いベース、坂田さんの変則的ドラムが終末観を漂わせていた。

22.誓い

イントロの静かなソファー音は、三沢さんが小型のタンバリンに似た楽器で表現。観客としては荒々しい『極夜』のアウトロから、一転しての静かな始まりとなるのだけれど、真綾本人は『極夜』の途中からじっと待っていたわけで、どういう心境で『誓い』に望んだのかが少し気になった。
今回の並びだとアウトロの石成さんギターや大団円感が『birds』と似たポジションだけれど、10年の間にこんなメロディを作って歌いこなせるようになるんだから感慨深い。いつか本人の弾き語りで聴いてみたいですね。演奏が続く中で上手に颯爽と退場する時に、白いドレスからお御足が透けて見えてドキドキしました。

23.Driving in the silence -reprise

紗幕が降りる。最後のモノクロパートは、高速道路をひた走るジャガーが、前方に見えてきた大きな右カーブを凄いスピードで曲がるちに、段々と車体が浮いていき、ついには夜空へと飛び立っていく。

Merry Christmas

の文字が現れて、その下をグッズやパンフレットにも使われたノルディック柄の帯が上手から下手へと流れ続け、舞台は静かに幕を閉じた。

最後の締めに明確な区切りが無かったので、弱く客電が点いても、これで終わりでいいのかな?とみんな拍手をしたものか戸惑っていた。曲もそうだけれど、終わりは終わりっぽくした方がみんな幸せになれる気がする。何はともあれ、これでコンセプトアルバム3本を全てリリース順かつ収録順に演奏するという、奇跡のライブは完成したのでした。

アンコール

MC5

世界観を再現する必要がある本編が終わったことで、少し気が緩んだのかリラックスした感じで真綾が一人で登場。アンコールの衣装は少なくとも13日と17日では違っていて、13日は肩のスリーブの部分が七夕飾りのちょうちんみたいになってる黒のワンピースで頭にも大きい黒の花飾り。17日は藍色を中心に濃淡に染め上げたようなバルーンワンピースとスモッグの中間みたいな衣装。
今年はYCCMから始まりitsに終わるまで、お客さん前で歌える機会が多くて嬉しかったこと。『30 minutes〜』シリーズを作ろうという案も前はあったこと。アンコールお馴染みグッズ紹介。などなど。
もう少し歌うということでメンバーの読み込み。石成さんは沢山の歓声を受けてた。海老沼さんはコーラ大好きな26歳。坂田さんは初日の前日がお誕生日。コーラスの2人は登場時にキャイーンのポーズをしたら、その後に登場する全メンバーが乗っかる珍自体へ。三沢さんは横走りでニコニコ両手を振りながら可愛く、沖祥子ストリングスの皆さんは慎ましやかに登場。河野伸さんがキャイーンをする時は、真綾までカミシモのバランスを取るという謎な名目でキャイーンしてました。

次の曲への前振りとして、今回のライブはコンセプトアルバムからの曲オンリーでマニアックなライブになってしまったので、今年発売になったシングルを歌いますという気心の溢れ方だったけれど、恐らくコアなファンしか会場内には辿りつけて無いこの矛盾。

24.Buddy

歌うかどうか半々かなーと思ってたのでラッキー。が、13日は目を開けてるのも辛い照明演出が待ち受けていた。原色の赤と青と緑のライトが超高速で切り替わり、武道館のヘミソフィアの比じゃないくらい目に優しくない。すわポケモンショックの再来かと危惧したくらい。
真綾のボーカルも初お披露目ということでほんの少し緊張してたのか、ピッチがちょっぴり甘かった。、もっと酷いことになるかなーと思ってた割に(ファンにあるまじき発言)、かなり出来上がっていたかな。
そして17日は、身構えてたいたからか、慣れてしまったからか、ライティングが少し控え目になったのか、視界を占める色が高速で変化する中でも真綾の輪郭だけはクッキリと浮き上がって見え、手に汗握るくらいに曲に入り込めた。疾走感溢れるストリングスや、変則的かつ手数の多いドラムもカッコイイし、バンドによって作られたサウンドの真価を見た気がした。

25.おかえりなさい

決して悪くはなかったんだけれど、富岡で聴いたというのもあったし、直前の『Buddy』の印象が良くも悪くも強烈すぎてあんまり記憶に残ってない。見当違いを覚悟で分析するなら、今年のシングル2枚の売上の差ってこういう部分に起因するのかも。マスメディアで定期的に流れる環境が整ってるのなら、王道の素敵なメロディよりも、トリッキーでフックの効いたものの方が、CDを買うという行為には繋がり易かったりするのかもね。単なる思いつきですけど。

MC6

最後の最後になって明かされる爆弾発言。

「5日間ともセトリ一緒だから1日だけ来れば十分とかどっかで言ったかもしれないけれど、やっぱり最後の曲だけは日替わりにするわ、てへぺろ(・ω<)」(超意訳)

しかも、あんまりライブでやったことのない冬にまつわる曲を歌うとか仰るもんだから、TLにはネタバレ警報が飛び交うと同時に、自分のお気に入りの冬曲が5曲の中に含まれるのかどうか、もし含まれるとしたらどの日に演奏されるんだろうかとヤキモキする人たちが溢れることに。今回のライブは事前にセトリが発表されてたというのもあったので、真綾サンタからのクリスマスプレゼントとしては、これ以上ない程に素敵なものだったんですけどね。
よく話題に挙がりながらも、実際には演奏されなかったのは『cloud 9』、『kissing the christmas killer』、『A HAPPY NEW YEAR』、『紅茶』辺りでしょうか。ここらは来年のFCイベント「winter songs」に期待したい所です。
ちなみに、僕が参加してない日付のセトリを書いてしまうと、14日『冬ですか』、16日『Rule 〜色褪せない日々』、18日『ポケットを空にして』でした。

25.真昼が雪 (13日)

前の曲からの繋ぎの雰囲気やイントロの最初のコードで、次の演奏される曲を当てるのが、密かな特技だったのだけれど、恥ずかしながら告白すれば、『真昼が雪』は真綾のボーカルが始まるまでサッパリ分からなかった。「あの曲かな?あの曲かな?」とか直前のMCで勿体つけてたのに、新曲というオチですか?とか半ば思いかけていた。河野さんの茶目っ気たっぷりなメロディと、原曲より1オクターブ?高いコーラスのお陰で、イントロからして底抜けに明るいんだもの。
全体としても石成さんのファンクなギターが散りばめられていて、原曲との雰囲気が一変したという意味では『inori』とこの曲が双璧かもしれない。

25.木登りと赤いスカート (17日)

直前のMCでヒントが語られたのだけれど、「ちょっとマイナーな曲」「最近ファンになった人は知らないかも」「口笛がある」という3ヒントから、『cloud 9』が来ちゃうううううううううと一人でガッツポーズしてたら見事に外れた。外れという表現は某数字の人には申し訳ない感じだけれど、この曲もライブでは初お披露目らしいので*3、2/5のラインナップとしては個人的には大勝利。3日目の『Rule』は映像化されますし、『冬ですか』はいつの日か真綾のライブにブラス隊が入る時を待ちたいです。
照明は紫色を基調としていて、ステージ背面には白い雪がチラホラと舞い降りる演出となってました。
この曲のポイントと言えば、真綾がどこまで可愛いボイスで歌えるかでしょう。『Lucy』の発売から10余年が過ぎたので、声質は少し変わったけれど、そこは役者魂も持ち合わせてる人なので、Cメロの「大人になった〜」の部分は本当に耳福でした。
さらにポイントが高いのがアウトロの口笛部分で、実際に真綾が吹いた口笛がマイクに乗って会場に響いてたのかは断言できないけれど、頬っぺたをちょっと凹ませて唇を尖らせてステージ上を歩きながら口笛を吹いてる感じの真綾は本当に可愛かったです。もう一度言います、可愛かったです。何度でも言います、可愛かったです!

以上、約2時間30分で全25曲が披露されたin the silenceの本編レポートでした。




終わりに

ここまで読んでくださった方がどの程度居るのかは分かりませんけれど、最後に2点だけ書き加えてレポートの方を閉じたいと思います。坂本真綾の話というよりは、書き手のとーかみの話になるんで興味無い人はスルーしてくださいな。

個人的なライブ感想

"本編"では曲に焦点を絞った感想ばっかりだったので、一言でライブの全体の印象を書いてみると、満足した、若しくは納得がいくライブだったという表現になると思う。8,400円という坂本真綾名義のライブでは過去最高額だったチケット代金と、事前にセットリストの大半が判明していたという2点が理由としては大きい。

照明に関して2,3の不満はあるものの、それ以外の部分については本当に満足度の高い歌唱、演奏、演出だった。1曲を除いてセトリが同じだった公演を中3日の間隔で2回見たことも全肯定出来る程だ。(座席が大きく異なったという事情はあるにせよ)
かぜよみツアーやYCCMツアーで、殆ど同じ内容の公演を短期間で複数回見るという経験はしていたけれど、後から振り返って、そこまでして参加すべきだったかなと省みることがあった。複数回の公演を見たとしても、よっぽど歌声の調子に差があったり、会場の音響が酷かったりしない限り、どうしても最初に見た公演のが満足度は高くなるからだ。
それを自覚しながらも足を運んでるのは、真綾関係の友人が増えてライブ本編以外でも得るものがあったり、ライブに参加しないことが怖くて参加してる部分があったりするからなのだが、今回の本題ではないからこの程度に留めておこう。勿論、真綾の歌声を聴く行為は、基本的には快楽の範疇なので、参加が自分にとってマイナスになることは無いのだけれど、金なり時間なりを費やして参加してる以上、どうしてもコスパと言うものを考えてしまう。
その点で、今回のライブに関してはどっちの日付も同じくらい楽しめたし、どっちも参加して良かったと思ってる(今の所はだが)。とても幸せなことであり、真綾をはじめとする主催サイドには感謝の気持ちでいっぱいである。


もう1つはセトリ公開に関して。
ライブにはサプライズがあるべきで、それが楽しみの大きな要素だと思ってた自分からすれば、事前にセトリがバレてる今回のライブをこれだけ楽しめたのは意外だった。けれど、前述の複数回参加のジレンマを逆に捉えれば、セトリが事前に分かってるのだから、それ以外の部分で楽しめるポイントを見つけようという話になるわけで、実は自分には向いてたのかも知れない。
バンド編成がこんなだから、こういうアレンジになるんじゃないかなとか、この部分は今の真綾が歌うとどういう風になるんだろうとか、事前に脳内イメージを具体的に作っておくことによって、それと比較しながらライブの中身により没頭できる気がした。この点は最後に書く内容にも関係してくる。

アウトプットのためのインプット

自分が今までに書いたライブレポの中では、今回のが最も長文になったと思う。本番前から詳細なレポを作ることを意識した上で臨んだから、当たり前の結果ではあるのだけれど、このレポにどれだけの意味や価値があるかは今も分からない。レポを作る動機として、参加したくても出来ない人が居る中で、複数回の参加をすることへの罪滅ぼしの意識も少なからずあったと思う。まぁ、ここらは結局は自分の中で割り切るしかないので、言い訳でしかない。
レポートを作ろうと思ってライブを見る時は、見たこと・聴いたこと・思ったこと・感じたことを全て脳内で文章にするのが自分のスタイルだ。視覚情報や聴覚情報をそのままの形で自分の脳みそにしまっておくのは得意ではないので、苦肉の策なのだけれども自分の能力の限界だから仕方がない。ただ、脳内での文章への変換作業を一切使わずに、目と耳がインプットするままに任せた方が、よりライブを味わえるんじゃないかと思うことがある。
今度どっかのライブで試してみたいけれど、勿体無いと思っちゃって出来ないんだろな。FCイベ同日複数回参加して実験してみようかしら。まぁ、そんなことを考えたりした「in the silence」でした。

ということで、坂本真綾 Live2011 in the silenceのレポでした。ここまで読んだ方は本当にお疲れ様でした。来年のどこかでリリースされるだろうLIVE BD/DVDを楽しみにしつつ、発売されてもここの内容と比較して、やーいやーい間違ってるでやんの、とか突っ込まないでくれると嬉しいです。この物語はフィクションです、実在する(ry

*1:『30 minutes〜』前のFCイベントは振込忘れで不参加の体たらく

*2:今調べて知った単語。舞台奥にある白い幕にライトを当てて各種照明効果に用いるそうな

*3:『神ブログ』こと、100331ブログさん参照